罠猟とは|くくり罠・箱罠の違いと、肉の質の話

苔の生えた太い古木を見上げた風景
罠猟は、わなを仕掛けて鹿や猪を捕らえる猟法です。くくり罠・箱罠・囲い罠の違い、必要な免許、銃猟との違いを表にまとめ、罠で獲った後の血抜きや処理の早さがジビエの肉の質にどう関わるのかを、罠猟で獲れた広島の猪と鹿でソーセージを作る立場からお話しします。

ジビエの説明で「罠猟で獲った猪」という言葉を見かけることがあります。狩猟というと鉄砲を思い浮かべる方が多いと思いますが、実際には、わなを使った猟も広く行われています。

僕たちがソーセージに使っている広島県東広島産の猪と鹿も、猟師仲間が罠で獲ったものです。この記事では、罠猟の種類としくみ、銃猟との違い、そして罠猟と肉の質の関係を、作り手の立場からお話しします。

ドットコミュ鹿さん 中山浩彰

罠猟って地味に見えるかもしれませんけど、山を読む力がすごく問われる猟なんですよね。

罠猟は、わなを仕掛けて獲物を待つ猟

大きな赤身肉を処理する作業者

罠猟は、獣が通る道や餌場にわなを仕掛け、かかるのを待つ猟です。鹿や猪の足跡、こすれた木の皮、掘り返された地面などから、動物の通り道を読み取って仕掛けます。

罠猟をするには、狩猟免許のうち「わな猟免許」が必要です。さらに、猟をする都道府県での狩猟者登録も欠かせません。わなは仕掛けたら終わりではなく、かかった獲物をそのままにしないよう、こまめに見回る必要があります。

罠猟は、銃を持たなくてもできる猟です。そのため、畑を荒らす鹿や猪に悩む農家の方が、自分の田畑を守るためにわな猟免許を取ることも少なくありません。山に入って獲物を追う銃猟に比べて、暮らしの近くで続けやすい猟ともいえます。

一方で、わなは仕掛ける場所がすべてです。獣道の幅、足を置く位置、においの残し方。うまく仕掛けたつもりでも、何日もかからないことはよくあります。山と動物を読む力が、そのまま結果に出る猟です。

関連コラム 狩猟免許の取り方|種類・費用・始めるまでの流れ

くくり罠・箱罠・囲い罠の違い

トマトや唐辛子と橙色のソーセージ

罠猟で使うわなには、いくつかの種類があります。代表的なものは次の3つです。

くくり罠

獣が踏むと、ワイヤーの輪が足をくくって捕らえるわなです。小さく軽いので、山の中のさまざまな場所に仕掛けられます。鹿や猪の罠猟では、もっとも広く使われているわなのひとつです。獣を捕らえるくくり罠には、輪の直径を12cm以内にする、締め付けを防ぐ金具をつけるなどの決まりがあります。都道府県によっては、さらに細かい決まりが加えられていることもあります。

箱罠

金属の檻の中に餌を置き、獣が入ると扉が閉まるわなです。大きくて運ぶのは大変ですが、獲物を傷つけにくく、猪の捕獲によく使われます。

囲い罠

柵で広い範囲を囲い、群れごと捕らえるわなです。鹿が多い地域などで、まとまった数を捕獲するために使われます。

ドットコミュ鹿さん 中山浩彰

どこに仕掛けるかで、結果がまったく変わるんです。足跡ひとつから動物の動きを想像するのは、ちょっと格闘技の読み合いに似ているかもしれません。

罠猟と銃猟の違いを表で見る

炎の上でソーセージ3本を直火焼きする様子

罠猟と銃猟の主な違いを、表にまとめました。どちらにもよさがあり、地域や獲物、猟師のスタイルによって使い分けられています。

項目 罠猟 銃猟
必要な免許 わな猟免許 第一種・第二種銃猟免許
猟のしかた 通り道に仕掛けて待つ 山を歩き、獲物を探して撃つ
主な道具 くくり罠、箱罠、囲い罠 猟銃、空気銃
肉の状態 獲物を傷つけにくい 当たった場所によって肉が傷むことがある

罠猟は、獲物を生きたまま捕らえることが多い猟です。猟師がその場に駆けつけ、落ち着いた状態で処理に入れるので、肉を傷つけにくく、血抜きを確実に行いやすいという面があります。

目玉焼きと葉物を添えた焼きソーセージ2本

罠猟の猪と鹿で作ったソーセージです

猟師仲間が罠で獲り、ナイフで血抜きした広島の猪と鹿を、自分たちの工房でソーセージにしています。臭みのない、まっすぐな肉の味です。

ソーセージを見る

罠で獲ったあとの処理が、肉の味を決める

大きな赤身肉を解体する作業者

ジビエの味を大きく左右するのは、獲ったあとの扱いです。血がしっかり抜けていないと、肉に臭みが残りやすくなります。また、獲ってから処理するまでに時間がかかると、肉の温度が下がらず、品質が落ちてしまいます。

僕たちが仕入れている猪と鹿は、猟師仲間が罠で獲ったあと、確実にナイフで血抜きを行い、速やかに衛生的な施設へ運んで処理したものです。僕がまだ狩猟をしていた頃からの、信頼できる仲間たちです。この最初の数時間の丁寧な仕事があるから、臭みのないソーセージが作れます。

ドットコミュ鹿さん 中山浩彰

ジビエの味は、獲った瞬間から始まっているんですよね。仲間たちの仕事があってこそのソーセージです。

関連コラム ジビエが臭いと言われる理由|鹿肉・猪肉の臭みはどこで決まる?

どう獲られた肉かを知ると、ジビエはもっとおいしくなります

2種類のソーセージを詰めた木箱

罠猟は、獣の通り道にわなを仕掛けて捕らえる猟です。くくり罠、箱罠、囲い罠などがあり、獲物を傷つけにくく、落ち着いて血抜きや処理に入りやすいという特徴があります。

ジビエを選ぶときは、どこで、どう獲られ、どう処理された肉かに目を向けてみてください。その一頭の背景を知ると、ひと口の味わいが少し変わって感じられると思います。

関連コラム ジビエとは?鹿肉・猪肉の特徴と、食べる前に知っておきたいこと

屋外でケバブを切る男性

罠猟とはどんな猟ですか?
獣の通り道や餌場にわなを仕掛け、かかるのを待つ猟です。鹿や猪の捕獲で広く行われています。
罠猟に免許は必要ですか?
必要です。狩猟免許のうち「わな猟免許」を取得し、猟をする都道府県で狩猟者登録をする必要があります。
くくり罠と箱罠の違いは?
くくり罠はワイヤーの輪で足をくくって捕らえる小型のわな、箱罠は檻の中に餌を置いて閉じ込めるわなです。箱罠は猪の捕獲によく使われます。
罠猟の肉はおいしいのですか?
獲物を傷つけにくく、落ち着いて血抜きや処理に入りやすいという面があります。味は、獲ったあとの血抜きと処理の早さに大きく左右されます。

オススメの商品

記事を書いた人

中山 浩彰

中山 浩彰ドットコミュ店主

ドットコミュ代表/ソーセージクリエイター。1985年、福井県福井市生まれ。「人にもわんこにも、同じ真剣さで作ったごはんを」を信条に、素材と製法に一切妥協しない無添加の手作りソーセージを日々作り続けている。

タグ
定番ジビエを食べ尽くすセット この記事でオススメの商品 定番ジビエを食べ尽くすセット 詳しく見る