体づくりのために、たんぱく質を意識して食事をとりたい。そう思って調べてみると、「鶏むね肉がいい」「卵が手軽」「魚もおすすめ」と、いろいろな情報が出てきます。どれも間違いではないのですが、結局どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。
そんなときに頼りになるのが、数字です。同じ「高たんぱく」でも、100gあたりのたんぱく質の量や、一緒にとることになる脂質・カロリーは、食材によってかなり違います。
僕は18歳から格闘技を続けてきて、今はブラジリアン柔術に取り組みながら、広島でジビエのソーセージを作っています。この記事では、文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の数値をもとに、肉・魚・卵・大豆製品のたんぱく質を比べながら、高たんぱく食材の選び方をお話しします。
高たんぱく食材は「量」と「カロリーとのバランス」で見る
高たんぱく食材を選ぶときに見ておきたい数字は、主にふたつです。
ひとつは、100gあたりにどれくらいたんぱく質が含まれているか。もうひとつは、そのたんぱく質をとるときに、脂質やカロリーがどれくらい一緒についてくるかです。たんぱく質が多くても脂質も多い食材と、たんぱく質が多くて脂質が少ない食材とでは、同じ量を食べたときのカロリーが大きく変わります。
もうひとつ知っておきたいのが、この記事で紹介する数値は「生」の状態のものだということです。肉や魚は加熱すると水分が抜けるので、100gあたりの数値は高くなります。たとえば牛もも肉(皮下脂肪なし)は、生だとたんぱく質20.5gですが、焼いたものでは28.0gです。たんぱく質が増えたわけではなく、水分が減って濃くなった、ということですね。食材同士を比べるときは、同じ「生」の値で比べるのがわかりやすいと思います。
肉・魚・卵・大豆製品のたんぱく質を数字で比べる
よく食べられている食材と、僕たちが扱っている鹿肉・猪肉を、100gあたりの数値で並べました。
| 食材(生・100gあたり) | たんぱく質 | 脂質 | エネルギー |
|---|---|---|---|
| くろまぐろ 赤身 | 26.4g | 1.4g | 115kcal |
| かつお(春獲り) | 25.8g | 0.5g | 108kcal |
| 鶏ささみ | 23.9g | 0.8g | 98kcal |
| 鹿肉(にほんじか 赤肉) | 23.9g | 4.0g | 119kcal |
| 鶏むね(皮なし) | 23.3g | 1.9g | 105kcal |
| しろさけ | 22.3g | 4.1g | 124kcal |
| 豚ヒレ | 22.2g | 3.7g | 118kcal |
| まさば | 20.6g | 16.8g | 211kcal |
| 牛もも(皮下脂肪なし) | 20.5g | 9.9g | 169kcal |
| 豚ロース(脂身つき) | 19.3g | 19.2g | 248kcal |
| 鶏もも(皮なし) | 19.0g | 5.0g | 113kcal |
| 猪肉(脂身つき) | 18.8g | 19.8g | 249kcal |
| 糸引き納豆 | 16.5g | 10.0g | 184kcal |
| 鶏卵(全卵) | 12.2g | 10.2g | 142kcal |
| 木綿豆腐 | 7.0g | 4.9g | 73kcal |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
表を見ると、たんぱく質の量でいちばん多いのは、まぐろの赤身とかつおでした。魚は高たんぱくで脂質の少ない食材が多く、とても優秀です。
肉では、鶏ささみと鹿肉が23.9gで並び、鶏むね肉の23.3gを少し上回っています。「高たんぱくといえば鶏むね肉」というイメージが強いと思いますが、鹿肉も同じくらいたんぱく質をしっかり含んだ肉です。
同じ動物の肉でも、部位によって数字は大きく変わります。豚ヒレ肉はたんぱく質22.2g・脂質3.7gですが、豚ロース(脂身つき)はたんぱく質19.3g・脂質19.2gです。脂身のある部位ほど、たんぱく質の割合は下がり、脂質とカロリーが上がります。
たんぱく質20gをとるには、どれくらい食べればいい?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18〜64歳のたんぱく質の推奨量を、男性で1日65g、女性で1日50gとしています。3食に分けて考えると、1食あたりおよそ17〜22gです。
そこで、1食の目安として「たんぱく質20g」をとるには、それぞれの食材をどのくらい食べればいいのか、そのときのカロリーがどのくらいになるのかを計算してみました。
| 食材(生) | たんぱく質20gに必要な量 | そのときのエネルギー |
|---|---|---|
| くろまぐろ 赤身 | 約76g | 約87kcal |
| かつお(春獲り) | 約78g | 約84kcal |
| 鶏ささみ | 約84g | 約82kcal |
| 鹿肉(にほんじか 赤肉) | 約84g | 約100kcal |
| 鶏むね(皮なし) | 約86g | 約90kcal |
| 豚ヒレ | 約90g | 約106kcal |
| しろさけ | 約90g | 約111kcal |
| 牛もも(皮下脂肪なし) | 約98g | 約165kcal |
| まさば | 約97g | 約205kcal |
| 豚ロース(脂身つき) | 約104g | 約257kcal |
| 猪肉(脂身つき) | 約106g | 約265kcal |
| 糸引き納豆 | 約121g | 約223kcal |
| 鶏卵(全卵) | 約164g | 約233kcal |
| 木綿豆腐 | 約286g | 約209kcal |
※「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の数値から計算した目安です。
同じたんぱく質20gでも、まぐろやささみなら80〜90kcal前後、豚ロースや猪肉なら250kcalを超えます。カロリーを抑えながらたんぱく質をとりたいときは、この「20gあたりのエネルギー」を見るのがわかりやすいと思います。
ただ、カロリーが高い食材がよくない、というわけではありません。さばには脂ののった魚ならではのコクがありますし、卵や納豆は手軽に食べられて、ほかの栄養素もとれる食材です。数字は「どれが正解か」を決めるためではなく、自分の目的に合わせて組み合わせるための材料として使ってみてください。
目的に合わせた高たんぱく食材の選び方
カロリーを抑えたいときは、赤身の魚・鶏ささみ・鶏むね・鹿肉
体重を落としたい時期や、食事全体のカロリーを抑えたいときは、脂質の少ない食材が中心になります。まぐろの赤身、かつお、鶏ささみ、鶏むね肉は、たんぱく質20gあたり100kcal未満。鹿肉も約100kcalで、このグループに入ります。
食事の満足感もほしいときは、脂のある肉や魚を上手に
脂質の少ない食材ばかりが続くと、食事の楽しみが減ってしまうこともあります。豚ロースや猪肉、さばのように脂のある食材は、コクや食べごたえが魅力です。量を調整しながら取り入れると、無理なく続けやすくなります。
鉄もとりたいときは、鹿肉やかつお
たんぱく質と一緒に鉄もとりたいときは、赤身の色が濃い食材に注目してみてください。100gあたりの鉄は、鹿肉(にほんじか 赤肉)が3.9mg、かつお(春獲り)が1.9mgです。鶏むね肉(皮なし)の0.3mgと比べると、違いがよくわかります。
続けやすさを重視するなら、手軽に食べられるもの
毎日の食事で大切なのは、無理なく続けられることです。卵や納豆、豆腐はすぐに食べられて、価格も手ごろ。冷凍できる肉や魚をストックしておくのも、忙しい日にたんぱく質をとるための助けになります。
鹿肉や猪肉を、もっと気軽に食卓に取り入れてみませんか?
広島産のジビエ肉に、挽きたてのスパイスとフレッシュハーブを合わせ、添加物を使わずに作っています。冷凍パックのまま湯煎するだけで食べられます。
ソーセージを見る僕が格闘技を続けながら、ジビエにたどり着いた理由
僕は18歳で総合格闘技を始め、2020年からはブラジリアン柔術に取り組んでいます。2024年12月には黒帯になりました。長く格闘技を続けてきて実感しているのは、身体は食べたもので作られる、ということです。
そんな僕が狩猟を通して出会ったのが、ジビエでした。野生の鹿や猪の肉は、力強い味わいがあって、しかも鹿肉は高たんぱく・低脂質。この記事の表でも、鹿肉のたんぱく質は鶏ささみと同じ23.9g、鉄は3.9mgでした。格闘技を通して食べるものと向き合ってきた僕にとって、狩猟で出会ったジビエは、ひとつの答えでした。
僕たちは、そのジビエ肉を中心に、添加物を使わずにソーセージを作っています。ソーセージは加工品なので、生の赤身肉と同じ数値になるわけではありません。そのかわり、湯煎して焼くだけで、肉の旨みをしっかり味わえます。高たんぱくな食事を続けるうえで、「美味しく食べられる」ことは意外と大きな支えになると思います。
数字を知ったうえで、続けられる食材を選ぶ
高たんぱく食材を選ぶときは、100gあたりのたんぱく質と、たんぱく質20gをとるときのカロリーを見ると、それぞれの食材の特徴がよくわかります。まぐろやかつお、鶏ささみ、鶏むね肉、そして鹿肉は、少ないカロリーでたんぱく質をしっかりとれる食材です。
ただ、どんなに数字のよい食材でも、続かなければ意味がありません。数字を目安にしながら、好きな食材や手軽な食材を組み合わせて、自分に合った食事を見つけてみてください。その選択肢のひとつに、鹿肉を加えていただけたら嬉しいです。
- たんぱく質が多い食材は何ですか?
- 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の生100gあたりの値では、くろまぐろ赤身が26.4g、かつお(春獲り)が25.8g、鶏ささみと鹿肉(にほんじか 赤肉)が23.9g、鶏むね肉(皮なし)が23.3gです。
- 鹿肉と鶏むね肉では、どちらがたんぱく質が多いですか?
- 生100gあたりで、鹿肉(にほんじか 赤肉)が23.9g、鶏むね肉(皮なし)が23.3gで、鹿肉のほうがわずかに多くなっています。エネルギーは鹿肉が119kcal、鶏むね肉が105kcalです。
- たんぱく質は1日にどれくらい必要ですか?
- 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18〜64歳の推奨量を男性で1日65g、女性で1日50gとしています。
- 肉を加熱すると、たんぱく質は減りますか?
- 加熱すると水分が抜けるため、100gあたりのたんぱく質の数値はむしろ高くなります。たとえば牛もも肉(皮下脂肪なし)は、生で20.5g、焼いたもので28.0gです。食材を比べるときは、同じ状態(生どうしなど)の数値で比べるのがおすすめです。
















