ペットショップのおやつ売り場に立つと、パッケージの表側には「無添加」「国産」「素材そのまま」といった言葉が並んでいます。愛犬のために、少しでもいいものを選びたい。そう思って手に取る方も多いと思います。
ただ、表側に書いてあるのは、あくまで商品の「売り」です。何が入っているかという答えは、裏側に書いてあります。
この記事では、犬のおやつに使われる食品添加物と、その役割、そしてパッケージの裏にある原材料表示の読み方をお話しします。書いているのは、2022年から犬用ソーセージを作っていて、2026年2月からは自分でも犬と暮らしている僕です。
犬のおやつは「ペットフード安全法」で表示が決められている
犬や猫のフードやおやつは、「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」、通称「ペットフード安全法」によって管理されています。2009年6月に施行された法律で、人の食品の法律とは別のルールです。
この法律では、犬用・猫用のペットフードに、次の5つの項目を表示することが義務づけられています。
| 表示が義務の項目 | わかること |
|---|---|
| 名称 | 犬用か猫用か、どんな商品か |
| 原材料名 | 使われている原材料と添加物 |
| 賞味期限 | 美味しく食べられる期限 |
| 事業者の名称と住所 | 製造・輸入・販売している事業者 |
| 原産国名 | 最終的な加工を行った国 |
この5つのうち、添加物について知りたいときに見るのは「原材料名」の欄です。添加物も、ここに書かれています。
ひとつ注意したいのが「原産国名」です。これは最終的に加工された国を指すので、肉がどこで獲れたか、育てられたかまでは、この表示だけではわかりません。素材の産地まで知りたいときは、商品説明やメーカーの案内もあわせて見てみてください。
犬のおやつによく使われる添加物と、その役割
原材料名の欄に並ぶ添加物には、それぞれ役割があります。代表的なものをまとめました。
| 種類 | 表示の例 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 酸化防止剤 | ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、BHA、BHT、エトキシキン | 脂が酸化して風味や品質が落ちるのを防ぐ |
| 保存料 | ソルビン酸カリウム | カビや細菌が増えるのを抑える |
| 発色剤 | 亜硝酸ナトリウム | 肉の赤い色を保つ |
| 保湿剤 | グリセリン、プロピレングリコール | しっとりしたやわらかさを保つ |
| 着色料 | 赤色○号など | 見た目の色を整える |
これらの添加物は、どれも理由があって使われている技術です。常温の棚に並べても品質が変わりにくい。やわらかさが長持ちする。袋を開けてからもしばらく使える。飼い主にとって便利なおやつは、こうした技術に支えられています。
そして、ペットフード安全法では、一部の添加物に上限が決められています。たとえば、酸化防止剤のエトキシキン・BHA・BHTは合計で150μg/g以下(犬用はエトキシキンが75μg/g以下)、発色剤の亜硝酸ナトリウムは100μg/g以下。プロピレングリコールは、猫用のフードには使えないことになっています。
つまり、ペットフードはこの基準の範囲内で作ることが求められています。必要以上に怖がることはありません。そのうえで、何が入っているかを知ったうえで選びたい、というのは、飼い主としてとても自然な気持ちだと思います。
「色」は、犬のためではなく人のため
ここで、ひとつ視点を変えてみます。
鮮やかなピンク色のジャーキー。きれいな色のついた骨型のおやつ。売り場で目を引くのは、たいてい色のきれいなものです。
でも、犬はおやつを色で選んでいるわけではありません。犬がおやつに惹かれるのは、主に匂いや味です。
発色剤や着色料で整えた色は、犬のためというより、買う人間の目に向けた工夫です。これは誰かを責める話ではなく、「売り場で選ばれやすいもの」を作ろうとすれば、自然とそうなるという構造の話です。
だからこそ、飼い主が見るべきは、パッケージの色より原材料名の欄。いわば「おやつの答えは、裏に書いてある」です。
原材料表示を読むときの3つのポイント
1. 肉や食材の名前以外に、何が書いてあるか
まずは原材料名の欄を上から見ていきます。「鹿肉」「鶏ささみ」など、食材の名前以外に、カタカナの物質名や「〇〇剤」という表記があれば、それが添加物です。すべてを避ける必要はありませんが、何が入っているかを知るだけで、選び方の軸ができます。
2. 「無添加」の中身を確かめる
パッケージに「無添加」と書いてあっても、何を加えていないのかは商品によって違います。保存料を使っていないという意味の場合もあれば、着色料を使っていないという意味の場合もあります。「無添加」の文字を見つけたら、裏の原材料名の欄で中身を確かめてみてください。
3. 与える量と、愛犬の体調
どんなおやつでも、量が多すぎれば負担になります。おやつは1日の摂取カロリーの10%程度までが一般的な目安です。はじめてのおやつは少しだけ与えて、その日の様子を見てあげると安心です。
僕たちの犬用ソーセージの原材料表示
僕たちは2022年6月に、犬用ソーセージのブランド「SAUSAGE FOR DOGS」を立ち上げました。
犬用ソーセージの原材料は、広島の山で獲れた鹿と猪の肉だけです。人間用のソーセージには、味つけのために塩や香辛料を使います。犬用には、それも入れていません。人間用から、人間のために足していたものを抜くと、犬用になる。そういう作り方をしています。
だから原材料名の欄に書いてあるのは、肉の名前だけ。この記事でお話ししてきた読み方で見ていただいても、読むのに数秒もかかりません。
……と、作り手として偉そうに書いてきましたが、実は僕自身が犬と暮らし始めたのは、2026年2月。犬用ソーセージのブランドを立ち上げてから、4年近くあとのことです。
人の食べものを分けるときも、原材料を見る
犬と一緒に暮らしていると、食卓の食べものをつい分けてあげたくなります。ただ、人間用の食べものには、塩や香辛料が使われていることが多く、玉ねぎやにんにくなど、犬に与えてはいけない食材が含まれていることもあります。
人の食べものを分ける前にも、やっぱり原材料を見る。これは、おやつ選びと同じ考え方です。
おやつの答えは、裏に書いてある
犬のおやつは、ペットフード安全法で表示のルールが決められていて、添加物も原材料名の欄に書かれています。添加物はそれぞれ役割のある技術で、基準の範囲内で使われています。そのうえで、何が入っているかを知りたいときは、パッケージの表の言葉ではなく、裏の原材料名の欄を見てください。
ワンちゃんは、自分でおやつの袋を裏返すことができません。だからこそ、飼い主さんが一度裏返してみる。それだけで、愛犬のおやつ選びは、もう十分にていねいなものになっていると思います。
- 犬のおやつの原材料表示はどこを見ればいいですか?
- パッケージの「原材料名」の欄を見てください。ペットフード安全法では、添加物も原材料名の欄に表示することになっています。食材の名前以外に、カタカナの物質名や「〇〇剤」という表記があれば、それが添加物です。
- 犬のおやつに使われている添加物は危なくないですか?
- ペットフード安全法では、一部の添加物に上限の基準が設けられており、ペットフードはその範囲内で作ることが求められています。気になる場合は、原材料名の欄で何が使われているかを確かめて、ご家庭の基準に合うものを選んでください。
- 「無添加」と書いてあるおやつは、添加物が一切入っていないのですか?
- 商品によって異なります。特定の添加物だけを使っていないという意味の場合もあるため、原材料名の欄で中身を確かめるのが確実です。
- ペットフード安全法で表示が義務づけられている項目は何ですか?
- 名称、原材料名、賞味期限、事業者の名称と住所、原産国名の5項目です。
- おやつはどのくらい与えていいですか?
- おやつは1日の摂取カロリーの10%程度までが一般的な目安です。体格や運動量によって違うので、体重の変化を見ながら調整してください。









