焚き火の前に座って、ぱちぱちと薪がはぜる音を聞いていると、せっかくならこの火で何か作りたくなります。けれど、焚き火料理を調べると、ダッチオーブンに専用のグリルにと、道具がどんどん増えていく。そこで一度立ち止まった方も多いと思います。
焚き火料理は、道具を増やすほど上手くなるものではありません。むしろ、道具を減らして、火の使い方を覚えるほうが、ずっと楽しくなります。
僕は2016年からイベントでホットドッグを焼いてきた、ソーセージ屋です。この記事では、道具が少なくてもできる焚き火料理をご紹介します。
焚き火料理は、道具を減らすと楽しくなる

焚き火料理で最初につまずくのは、たいてい「料理」ではなく「準備」です。道具が多いと、運ぶのも、並べるのも、洗うのも大変になります。そして焚き火の前は、思っている以上に手元が暗く、狭いものです。
だから最初は、焼く、包んで焼く、湯煎する。この3つだけでできる料理から始めるのがおすすめです。それだけでも、焚き火のごはんは十分に美味しくなります。
最低限そろえたい道具

焚き火料理に必要な道具は、実はそれほど多くありません。最低限のものを、代わりになるものと一緒にまとめました。
| 道具 | 役割 | 代わりになるもの |
|---|---|---|
| 焚き火台 | 地面を焦がさずに火を扱う | キャンプ場のかまど(使える場合) |
| 焼き網 | 食材や鍋をのせる台になる | 焚き火台付属のゴトク |
| スキレット(小さな鉄のフライパン) | 焼く・炒める・温める | 厚手の小さなフライパン |
| アルミホイル | 包んで蒸し焼きにする | なし(あると料理の幅が広がる) |
| 小さな鍋 | 湯を沸かす・湯煎する | ケトル、飯ごう |
| 耐熱グローブ・トング | 熱い道具や食材をつかむ | 火ばさみ(食材用とは分ける) |
このうち、ひとつだけ選ぶならスキレットです。焼くのも、温めるのも、そのまま器として出すのも、これひとつでこなせます。
火は、場所で選ぶ

焚き火料理でいちばん大切なのは、火加減です。ただ、焚き火にはコンロのようなつまみがありません。代わりに使うのが「場所」です。つまり、「火は、場所で選ぶ」。
炎が立つ中心は、お湯を沸かす場所
薪が勢いよく燃えている中心は、火力が強く、温度も安定しません。ここは鍋でお湯を沸かすのに使います。肉をのせると、外だけ焦げて中が生のまま、ということになりがちです。
熾火(おきび)の端は、焼く場所
炎が落ち着いて、赤く光る炭のような状態になったものを「熾火」と言います。熾火は火力が穏やかで、じっくり焼くのに向いています。焚き火の端に熾火を寄せておいて、そこで肉や野菜を焼くと、焦がさずに中まで火を通しやすくなります。
道具が少なくてもできる、簡単な焚き火料理

1. スキレットで焼くソーセージ
焚き火料理の入門にいちばん向いているのが、ソーセージです。下ごしらえがいらず、焼くだけでご馳走になります。コツは、焼く前に完全に解凍しておくこと、そして熾火の端に置いたスキレットで、弱火のままじっくり転がすことです。
いちばん確実なのは、中心の強い火で鍋のお湯を沸かして、沸騰直前のお湯で真空パックのまま湯煎してから、スキレットで焼き色だけつける方法です。僕たちのジビエのソーセージなら、湯煎は13分ほど。焚き火の「強い場所」と「穏やかな場所」を、両方使い切る料理です。
2. アルミホイルで包む野菜の蒸し焼き
じゃがいも、玉ねぎ、きのこなどをアルミホイルで包んで、熾火の近くに置いておくだけ。バターと塩をひとかけら入れておくと、それだけで立派な一品になります。途中で一度ひっくり返して、竹串がすっと通れば食べごろです。
3. 焼いたソーセージを、パンで挟む
スキレットで焼いたソーセージを、網で軽く焼いたパンに挟めば、焚き火のホットドッグです。ホイル焼きの野菜を一緒に挟むのも美味しい食べ方です。洗い物が、ほとんど出ません。
焚き火料理で気をつけたいこと

直火ができる場所か確かめる
多くのキャンプ場では、地面で直接火をおこす「直火」が禁止されています。焚き火台を使い、キャンプ場のルールに従ってください。使い終わった灰や燃えさしの処理も、決められた方法で、完全に火が消えたことを確かめてから行います。
肉は中までしっかり火を通す
焚き火は火加減が安定しないので、肉は中まで火が通っているかを、いつも以上に気にかけます。加熱の目安は、中心部が75℃で1分間以上です。生の肉を触るトングと、食べる用の箸は分けておきます。
道具が熱くなっていることを忘れない
スキレットの取っ手や焼き網は、焚き火から下ろしたあともしばらく熱いままです。耐熱グローブを手の届くところに置いておきましょう。
焚き火の前では、シンプルなものほど美味しい

焚き火料理は、道具をそろえることより、火の「場所」を使い分けることのほうが大切です。中心でお湯を沸かし、熾火の端でじっくり焼く。スキレットとアルミホイル、小さな鍋があれば、それだけで十分に楽しめます。
凝った料理はなくても大丈夫です。焚き火の香りがついたソーセージ一本が、その夜いちばんのご馳走になることもあると思います。
- 焚き火料理に最低限必要な道具は何ですか?
- 焚き火台、焼き網、スキレット、アルミホイル、小さな鍋、耐熱グローブとトングがあれば、焼く・包んで焼く・湯煎するといった簡単な料理ができます。
- 焚き火で肉を焦がさずに焼くには?
- 炎が立つ中心ではなく、赤く光る熾火(おきび)を焚き火の端に寄せ、そこで弱火のままじっくり焼くのがおすすめです。
- 焚き火でソーセージを焼くときのコツは?
- 焼く前に完全に解凍し、スキレットの上で弱火のまま転がして焼きます。お湯を沸かせるなら、先に湯煎してから焼き色をつけると、中までしっかり火が通ります。
- キャンプ場で直火をしてもいいですか?
- 多くのキャンプ場では直火が禁止されています。焚き火台を使い、キャンプ場のルールに従ってください。











