いつものフードに、少しだけ手作りのものを足してあげたい。食いつきがよくなればうれしいし、何より自分で作ったものを美味しそうに食べてくれる姿は、見ていて幸せな気持ちになります。
そこで最初に迷うのが、どの肉を使えばいいのか、ということだと思います。鶏肉がいいとよく聞くけれど、豚肉や牛肉はどうなのか。鹿肉はどうなのか。
僕は2016年から鹿や猪の肉を扱い、2022年からは犬用のソーセージも作っています。2026年2月からは、自分でも犬と暮らし始めました。この記事では、犬の手作りごはんに使う肉の選び方を、肉を扱ってきた立場からお話しします。
まずは「主食」か「トッピング」かを決める

犬の手作りごはんには、大きく分けて2つの形があります。ごはんをすべて手作りにする方法と、いつものフードに手作りのものを少し足す、トッピングの方法です。
パッケージに「総合栄養食」と書かれたドッグフードは、そのフードと水だけで、犬に必要な栄養がとれるように作られています。一方で、手作りのごはんだけで、たんぱく質やビタミン、ミネラルのバランスを整えるのは、実はかなり難しいことです。
これから始めるなら、総合栄養食のフードを土台にして、手作りの肉を少し足すトッピングからがおすすめです。すべてを手作りにしたい場合は、かかりつけの獣医師などに相談しながら進めると安心です。
肉を選ぶときに見たい3つのこと

1. 脂の量
手作りごはんの肉選びで、いちばん気にしたいのが脂の量です。脂の多い肉や部位は、カロリーが高くなりやすく、犬によってはお腹がゆるくなることもあります。最初は脂の少ない赤身の部位から始めると安心です。
2. たんぱく質の量
肉はたんぱく質をとるための食材です。同じ量でも、肉の種類や部位によってたんぱく質の量は変わります。脂が少なく、たんぱく質が多い肉ほど、トッピングとして使いやすくなります。
3. いつも食べているかどうか
いつものフードに鶏肉が使われているなら、トッピングも鶏肉にするか、別の肉にするか。同じ肉ばかりにならないようにしたい、食べる食材の幅を広げたいという場合は、いつもと違う肉を選ぶのもひとつの考え方です。
人の食品としての数値ですが、よく使われる肉を比べると次のようになります。
| 肉(生100gあたり) | たんぱく質 | 脂質 | 使いやすさのメモ |
|---|---|---|---|
| 鶏ささみ | 23.9g | 0.8g | 脂がほとんどなく、ゆでてほぐしやすい |
| 鶏むね(皮なし) | 23.3g | 1.9g | 手に入りやすく、価格も手ごろ |
| 鶏もも(皮なし) | 19.0g | 5.0g | やわらかい。皮と脂は取り除く |
| 豚ヒレ(赤肉) | 22.2g | 3.7g | 赤身で脂が少ない。中までしっかり加熱 |
| 牛もも(皮下脂肪なし) | 20.5g | 9.9g | 脂がやや多め。量は控えめに |
| 鹿肉(にほんじか 赤肉) | 23.9g | 4.0g | 赤身で鉄が多い。いつもと違う肉として |
鶏ささみや鶏むね肉は、脂が少なく、手に入りやすいので、最初のひと品に向いています。慣れてきたら、豚ヒレや鹿肉など、ほかの赤身の肉を少しずつ試してみるのもいいと思います。
加熱済みの肉を、そのままトッピングに
ドットコミュの犬用ソーセージは、国産の肉だけで作り、75℃で加熱してから急速冷凍しています。解凍して食べやすく切れば、そのままごはんにのせられます。
犬用ソーセージを見る肉は、必ず中まで加熱する

犬に生の肉を与える食べ方もありますが、家庭の手作りごはんでは、肉は中までしっかり加熱することをおすすめします。生の肉には、細菌や寄生虫がついていることがあるからです。犬だけでなく、生肉を扱う人の側の衛生にも関わります。
とくに鹿や猪などのジビエは、人が食べるときも、中心部の温度が75℃で1分間以上の加熱が目安とされている肉です。犬のごはんに使うときも、同じように中まで火を通してください。
ゆでる、蒸す、焼くのどれでもかまいません。ゆでた場合は、脂が浮いたゆで汁を捨てれば、脂を少し落とすこともできます。
味つけはしない。取り除くものもある

犬のごはんに使う肉は、塩やしょうゆ、香辛料で味つけをしません。人が美味しいと感じる味は、犬にとっては濃すぎることが多いからです。
人の料理と一緒に作る場合は、味つけをする前に取り分けます。玉ねぎやにんにくなどのねぎ類は、加熱しても犬の体に合わない成分が残るので、ねぎ類を入れる前の段階で分けておきます。
骨は取り除き、皮や脂身もできるだけ落とします。小さく切ったり、ほぐしたりして、食べやすい大きさにしてあげてください。
量は、少しから

トッピングは、いつものフードに足すものなので、量が多くなるとカロリーのとりすぎにつながります。おやつと同じように、1日の摂取カロリーの10%程度までを目安にすると安心です。トッピングを足した日は、そのぶんフードを少し減らすなど、全体の量で調整してください。
初めての肉は、ほんの少しから。便の様子や体をかゆがっていないかなど、その日の様子を見てあげてください。体重が増えてきたら、量を見直すサインです。
手作りのひと品に、犬用のソーセージやジャーキーを

毎日肉を買って、ゆでて、ほぐして。手作りごはんは楽しい反面、続けていくと手間もかかります。忙しい日は、加熱済みの犬用のおやつを、トッピングとして使うのもひとつの方法です。
僕たちの犬用ソーセージは、鹿肉と鶏肉の2種類。人間用と同じ素材、同じクオリティで作ることを大切にしていて、国産の肉だけを使い、化学調味料、保存料、発色剤は使っていません。芯温75℃で1分間の加熱を基準に、75℃のお湯で3分ボイルしてから急速冷凍しているので、解凍して食べやすく切れば、そのままごはんにのせられます。
犬用の鹿肉ジャーキーは、原材料が広島県産の鹿肉だけで、味つけもしていません。手で細かく割いて、ごはんにのせることもできます。
肉選びは、愛犬との相談

手作りごはんの肉は、脂が少なく、たんぱく質がとれて、いつもと同じか違うかを考えて選ぶ。そして、必ず加熱して、味つけはしない。量は少しから。この順番で考えれば、大きく迷うことはないと思います。
どの肉が合うかは、最後は愛犬の食べっぷりと体調が教えてくれます。完璧を目指さずに、週に一度のひと品から、楽しんでみてください。
- 犬の手作りごはんにはどの肉がおすすめですか?
- 最初は、脂が少なく手に入りやすい鶏ささみや鶏むね肉(皮なし)がおすすめです。慣れてきたら、豚ヒレや鹿肉など、ほかの赤身の肉を少しずつ試してみてください。
- 犬のごはんに使う肉は生でもいいですか?
- 生の肉には細菌や寄生虫がついていることがあるため、家庭の手作りごはんでは、中までしっかり加熱することをおすすめします。鹿や猪などのジビエは、とくに中心まで十分に加熱してください。
- 手作りのトッピングはどれくらいの量にすればいいですか?
- いつものフードに足すものなので、1日の摂取カロリーの10%程度までを目安にするのがおすすめです。トッピングを足した日は、フードの量で調整してください。
- 犬の手作りごはんだけで栄養は足りますか?
- 手作りのごはんだけで栄養のバランスを整えるのは難しいため、総合栄養食のフードを土台に、手作りの肉を少し足すトッピングから始めるのがおすすめです。










