格闘技と食事管理|柔術黒帯が実際にやっていること

格闘技と食事管理|柔術黒帯が実際にやっていること
格闘技の食事管理は、試合前の減量よりも、その手前にある毎日の積み上げで決まります。階級制のスポーツで体重と体づくりをどう両立させるか。18歳から格闘技を続け、柔術の黒帯を取るまでに考えてきたことを整理しました。

格闘技をやっていると、食事の話は必ずついてきます。階級があるので体重を合わせなければならず、一方で練習量は多いので、体は作らなければならない。この2つは、放っておくと引っ張り合います。

僕は18歳から総合格闘技をやってきました。会社員を1年半で辞めて「格闘家になる」と宣言し、荷運びや解体や清掃の仕事をしながらプロ修斗の試合に出ていた時期があります。戦績は、正直に言うと負けのほうが多かったです。2020年からはブラジリアン柔術を始めて、2024年の12月に黒帯をいただきました。同じ年の6月と7月には、アジアの大会で優勝もできました。

長くやってきてわかったのは、食事管理で効くのは試合前の2週間ではなく、その手前の何ヶ月かだということです。この記事では、そのあたりの考え方を整理します。

階級制の競技で、食事管理が難しくなる理由

階級制のスポーツでは、2つの目標が同時に立ちます。

ひとつは、計量に体重を合わせること。もうひとつは、その体重の中でできるだけ強い体を作ること。前者だけを見れば食べなければいいし、後者だけを見れば食べればいい。両方を見ると、途端に難しくなります。

やりがちなのは、試合が近づいてから慌てて落とすやり方です。これをやると、削られるのは脂肪だけではありません。筋肉も一緒に落ちますし、体調も落ちます。計量には通っても、試合の日に力が出ない、という形になりがちです。

だから、考え方としてはこうなります。試合前にやることを減らすために、ふだんの体重を階級に近いところで保っておく。派手さはありませんが、これが土台です。

ふだんの食事で決まる部分

毎日の食事で意識しておきたいのは、多くありません。

たんぱく質を毎食に入れる

1日の中で「たんぱく質の入っていない食事」を作らないこと。まとめて夜に食べるより、朝・昼・夜に分けて入れるほうが組み立てやすいです。

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18歳から64歳の推奨量が男性65g、女性50g(いずれも1日あたり)とされています。練習量が多ければ、必要な量はこれより増えます。

鉄を切らさない

持久力が関わる競技では、鉄が足りないと練習の質が落ちます。ところが、鶏むね肉を中心に食事を組み立てていると、鉄はほとんど入ってきません。鶏むね肉の鉄は100gあたり0.3mgです。

鹿肉の赤身は3.9mg。同じ「高たんぱくな肉」でも、こちらはまったく別の役割を果たします。卵も1.5mgあるので、朝食に入れておくと積み上がります。

食べられる形にしておく

これがいちばん効くと思っています。練習から帰ってきて、そこから一から料理をするのは現実的ではありません。疲れ切った日に何を食べるかが、1ヶ月分の積み上げを決めます。

冷凍庫にすぐ食べられるものがあるかどうか。たったそれだけのことが、食事管理の成否を分けます。

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練習日の組み立てを、表で整理する

時間帯ごとに、何を優先するかを整理しておくと迷いません。

タイミング 優先すること 向いているもの
練習の2〜3時間前 エネルギーを入れる ごはん、麺、いもなど
練習の直前 胃に残さない 少量の糖質
練習の直後 たんぱく質を入れる 手をかけずに食べられるもの
寝る前 脂質を上げすぎない 赤身の肉、卵、乳製品など

細かい数字よりも、この順番のほうが大事だと思っています。練習の直後にたんぱく質を入れられるかどうかは、冷蔵庫と冷凍庫の中身で決まります。つまり、買い物の段階で勝負がついています。

ドットコミュのソーセージ

練習から帰った日の、一品を用意しておきませんか?

冷凍パックのまま湯煎して、軽く焼くだけ。広島の山で獲れた鹿と猪に、挽きたてのスパイスとフレッシュハーブを合わせています。

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型があるから、工夫が生まれる

柔術をやっていて面白いのは、ルールと型がはっきりしていることです。決まった形があるからこそ、その中でどう戦うかを考える余地が生まれます。僕はソーセージ作りも同じだと思っていて、材料と工程という型があるから、そこから外れた発想が出てきます。

食事管理も、たぶん同じです。「何を食べてはいけない」というルールだけを増やしていくと、選択肢がなくなって苦しくなります。そうではなく、たんぱく質を毎食に入れる、鉄を切らさない、練習後に食べられるものを用意しておく。この3つを型として持っておいて、その中身は自由に選ぶ。そのほうが長く続きます。

20代の頃の僕は、この型を持っていませんでした。日雇いの仕事をしながら練習して、食事は行き当たりばったり。体重は落ちるけれど、力も落ちる。そういう時期を長く過ごしました。狩猟を始めて鹿肉に出会い、「食べたもので身体は作られる」という当たり前のことを、ようやく実感として受け取ったのはそのあとです。

僕たちの商品を、この文脈で並べると

自分で作っているものなので身びいきになりますが、数字はそのまま出します。

商品 内容量 たんぱく質 エネルギー
鹿肉ジャーキー ペッパー 20g 14.0g 75kcal
羊ティムールペッパー 110g 21.2g 174kcal
鹿ブラックペッパー 110g 17.9g 244.2kcal

ジャーキーは、20gでたんぱく質14.0g。原材料は鹿肉、食塩、ブラックペッパー、ガーリックパウダーの4つだけです。噛みごたえがあるので、練習の合間に少しずつ食べるのに向いています。

羊ティムールペッパーは、羊肉100%で豚脂を使っていないので、ソーセージの中では脂質が低いほうです。鹿ブラックペッパーは、鹿肉に豚脂を合わせているぶん脂質が上がりますが、そのかわり味の満足度が高い。減量が進んでいない時期の主菜としては、こちらを選ぶ日が多いと思います。

どれも冷凍パックのまま湯煎するだけなので、練習から帰ってすぐに食べられます。僕が作るものの基準が「疲れた日でも用意できるか」に寄っているのは、たぶん自分がずっとその側にいるからです。

試合前ではなく、日常で決まる

格闘技の食事管理は、計量に間に合わせる技術ではなく、ふだんの体をどこに置いておくかという話でした。たんぱく質を毎食に入れて、鉄を切らさず、疲れた日に食べられるものを用意しておく。

遠回りばかりしてきた人間が言うのもなんですが、こういうものは劇的な方法より、続けられる形のほうが結局強いです。今日の練習のあとに何を食べるか。そこから始めてもらえたらと思います。

格闘技の減量は、いつから始めればいいですか?
試合直前にまとめて落とすと、筋肉や体調も一緒に落ちやすくなります。ふだんの体重を階級に近いところで保っておき、試合前にやることを減らしておく組み立てがおすすめです。具体的な進め方は、指導者や専門家に相談してください。
練習後は、どのくらいで食事をとるといいですか?
練習の直後にたんぱく質を入れられるよう、手をかけずに食べられるものを用意しておくのがおすすめです。調理に時間がかかるものは、疲れている日ほど後回しになります。
たんぱく質は1日にどのくらい必要ですか?
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18〜64歳の推奨量が男性65g/日、女性50g/日とされています。練習量が多い場合は必要量が増えるため、専門家に相談して調整してください。
鶏むね肉ばかり食べていれば大丈夫ですか?
たんぱく質は十分にとれますが、鉄は100gあたり0.3mgと多くありません。鹿肉の赤身(3.9mg)や卵(1.5mg)など、鉄を含む食材を組み合わせるのがおすすめです。
ソーセージは格闘技の食事に向いていますか?
商品によって数字が違います。ドットコミュの羊ティムールペッパーは1パック110gあたり174kcal・たんぱく質21.2g、鹿肉ジャーキーは1パック20gあたり75kcal・たんぱく質14.0gです。調理が短時間で済むため、練習後の食事に組み込みやすい形です。

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記事を書いた人

中山 浩彰

中山 浩彰ドットコミュ店主

ドットコミュ代表/ソーセージクリエイター。1985年、福井県福井市生まれ。「人にもわんこにも、同じ真剣さで作ったごはんを」を信条に、素材と製法に一切妥協しない無添加の手作りソーセージを日々作り続けている。

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