パッケージに大きく書かれた「無添加」の文字。なんとなく安心できそうで、手に取りたくなります。けれど、「何が」無添加なのかまで確かめたことは、あまりないかもしれません。
実は「無添加」は、法律で意味が決められた言葉ではありません。何を使っていないのかは、商品によって違います。そして2024年からは、この「無添加」の書き方について、国のガイドラインにそった見直しが進んでいます。
この記事では、「無添加」表示のルールと、表示だけではわからないこと、そして作り手として僕たちが「無添加」という言葉をどう扱っているかをお話しします。
「無添加」は、法律で定義された言葉ではない

食品の表示は「食品表示法」とそれにもとづく「食品表示基準」で決められています。原材料や添加物をどう書くかは細かく決まっていますが、「無添加」や「不使用」という言葉の定義は、どこにもありません。
そのため以前は、保存料だけを使っていない商品も、着色料だけを使っていない商品も、同じように「無添加」と書くことができました。消費者から見ると、何が無添加なのかがわかりにくい状態だったのです。
2022年に「不使用表示」のガイドラインができた

そこで消費者庁は、2022年3月に「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を定めました。どんな「無添加」「不使用」の表示が、消費者の誤解を招きやすいのかを、10の類型に整理したものです。事業者には、2024年3月末までに表示を見直すことが求められました。
| 注意が必要とされた表示 | たとえば |
|---|---|
| 単なる「無添加」 | 何が無添加なのかを書かずに「無添加」とだけ表示する |
| 基準にない言葉を使う | 「化学調味料無添加」「人工甘味料不使用」など |
| もともと使えない添加物の不使用をうたう | 法律で使えない添加物を「不使用」と強調する |
| 同じ働きの添加物を使っている | ある保存料は不使用だが、別の日持ちさせる添加物を使っている |
| 同じ働きの原材料を使っている | 調味料は不使用だが、うま味を補う原材料を使っている |
| 健康・安全と結びつける | 「無添加だから体にいい」「安全」と表示する |
| 健康・安全以外と結びつける | 「無添加だから美味しい」などと根拠なく結びつける |
| 使われるはずのない添加物の不使用をうたう | その食品にふつう使われない添加物を「不使用」と書く |
| 加工助剤・キャリーオーバーを使っている | 原料の段階で添加物を使っているのに「無添加」と書く |
| 過度な強調 | 商品名や大きな文字で「無添加」を必要以上に目立たせる |
このガイドラインは、「無添加」と書くこと自体を禁止したものではありません。事実に合っていて、誤解を招かない書き方をしましょう、というものです。
だから、「何が」無添加なのかを見る

ガイドラインのあと、パッケージの表示は「保存料不使用」「着色料不使用」のように、何を使っていないのかを具体的に書くものが増えてきました。売り場で見るときも、「無添加」の文字より、その前後に書かれた言葉に目を向けてみてください。
そして最後は、裏の原材料表示です。原材料と添加物は「/」などで区切って書かれるので、「/」のあとに何も書かれていなければ、表示される添加物は使われていないということになります。
表示だけでは、わからないこともある

ただ、原材料表示を読んでも、すべてがわかるわけではありません。
表示が免除される添加物がある
製造の途中で使われて最終的に残らないもの(加工助剤)や、原料の段階で使われていて、最終的な食品では効果を持たない量のもの(キャリーオーバー)は、表示しなくてよいことになっています。
同じ働きの「原材料」もある
たとえば、うま味を足す添加物を使わない代わりに、うま味の強い原材料を使うことがあります。これは添加物ではないので、「/」の前に書かれます。悪いことではありませんが、「添加物を使っていない」ことと「味を足していない」ことは、同じではありません。
表示はとても頼りになる情報ですが、完璧ではない。その前提を知っておくと、「無添加」という言葉と、ちょうどいい距離で付き合えると思います。
原材料をそのまま読めるソーセージ、試してみませんか?
広島で獲れた猪や鹿の肉に、挽きたてのスパイスと摘みたてのハーブを合わせて作っています。原材料は商品ページとパッケージにそのまま書いています。
ソーセージを見る僕たちが「無添加」を書くとき

僕たちは、ソーセージの多くを添加物を使わずに作っています。たとえば「猪プレーン」の原材料は、猪肉、豚脂、塩、海藻粉末、砂糖。うどん屋さんとのコラボで生まれた「よいこソーセージ」は、豚肉、鶏肉、食塩、砂糖と、いりこ・昆布・かつおぶしの出汁でできています。
ただ、すべての商品が無添加というわけではありません。飲食店向けの業務用ソーセージには、調味料(アミノ酸)を使っているものがあります。だからこそ、「無添加」という言葉でひとまとめにするより、商品ごとの原材料をそのまま見ていただくのがいちばん正確だと考えています。
それに、僕たちが無添加で作っているのは、「無添加だから体にいい」と言いたいからではありません。よいこソーセージの商品ページに、僕はこう書きました。「『無添加だから良い』って訳じゃないけど、おいしいもの、人に食べてほしいもの、こだわったものを作るのに余計なもの入れる必要は特にないかなって」。素材の命を美味しく活かしきろうとしたら、足すものがなかった。それが正直なところです。
「無添加」の文字より、その中身を

「無添加」は法律で定義された言葉ではなく、何が無添加なのかは商品によって違います。2022年のガイドラインで表示の書き方は整理されてきましたが、最後に頼りになるのは、裏の原材料表示です。
「無添加」の文字を見つけたら、それをきっかけに、裏を返してみてください。何が入っていて、何が入っていないのか。それがわかれば、自分に合うものを選べると思います。
- 「無添加」に法律上の定義はありますか?
- 食品表示基準には「無添加」の定義はありません。何を使っていないのかは商品によって違うため、原材料表示で確かめるのがおすすめです。
- 食品添加物の不使用表示に関するガイドラインとは何ですか?
- 消費者庁が2022年3月に定めたガイドラインで、誤解を招きやすい「無添加」「不使用」の表示を10の類型に整理したものです。事業者には2024年3月末までに表示を見直すことが求められました。
- 「化学調味料無添加」という表示は使えなくなったのですか?
- ガイドラインでは、「化学調味料」のように食品表示基準にない言葉を使った表示は、誤解を招くおそれがあるとして注意が必要な類型に挙げられています。
- 原材料表示を見れば、添加物はすべてわかりますか?
- 加工助剤やキャリーオーバーのように、表示が免除される添加物もあるため、表示だけですべてがわかるわけではありません。











