鹿肉の栄養|高たんぱく・低脂質・高鉄分の中身を数字で見る

鹿肉の栄養|高たんぱく・低脂質・高鉄分の中身を数字で見る
鹿肉は高たんぱく・低脂質・高鉄分と紹介されますが、実際のところどれくらいなのか。鶏むね肉や牛もも肉と成分を並べて、たんぱく質・鉄・ビタミンB群の中身を見ていきます。鹿肉が負けている項目も数字で載せ、数字を見るときに知っておきたい注意点も添えました。

鹿肉は、「高たんぱく・低脂質のヘルシーな肉」と紹介されることがよくあります。間違いではありません。

ただ、それだけで終わらせてしまうと、この肉のいちばん面白いところを見落とします。

鹿肉の本当の特徴は、脂が少ないことよりも、赤身の中身が濃いことにあります。この記事では、文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の数値をもとに、鹿肉の栄養を鶏むね肉や牛もも肉と並べながら見ていきます。

書いているのは、18歳から格闘技を続け、今は広島でジビエのソーセージを作っている僕です。数字のいいところだけを並べる記事にはしません。鹿肉が負けている項目も、そのまま載せます。

鹿肉の栄養を、鶏むね肉・牛もも肉と比べる

まずは全体像です。鹿肉(にほんじか 赤肉)と、高たんぱく食材の代表である鶏むね肉(皮なし)、赤身肉の代表として牛もも肉(皮下脂肪なし)を、生100gあたりで比べました。

生100gあたり 鹿肉(赤肉) 鶏むね(皮なし) 牛もも(皮下脂肪なし)
エネルギー 119kcal 105kcal 169kcal
たんぱく質 23.9g 23.3g 20.5g
脂質 4.0g 1.9g 9.9g
鉄 3.9mg 0.3mg 1.3mg
亜鉛 2.9mg 0.7mg 4.7mg
ビタミンB2 0.35mg 0.11mg 0.21mg
ビタミンB12 1.3μg 0.2μg 1.2μg
ナイアシン 6.9mg 12.0mg 5.1mg

出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」にほんじか(赤肉・生)、鶏むね(皮なし・生)、牛もも(皮下脂肪なし・生)

この表から見えてくる鹿肉の特徴は、大きく3つです。

特徴1:たんぱく質は、鶏むね肉と同じくらい

鹿肉のたんぱく質は、100gあたり23.9g。鶏むね肉の23.3gをわずかに上回ります。「高たんぱくといえば鶏むね肉」というイメージが強いと思いますが、鹿肉もその並びに入る肉です。

脂質は4.0gで、鶏むね肉の1.9gよりは多いものの、牛もも肉の9.9gと比べるとかなり少なめです。エネルギーは119kcalで、鶏むね肉の105kcalに近い水準です。

特徴2:鉄は、鶏むね肉の13倍

ここが、鹿肉のいちばん面白いところです。

鹿肉の鉄は100gあたり3.9mg。鶏むね肉の0.3mgの13倍、牛もも肉の1.3mgの3倍です。

鹿肉の赤身が濃い色をしているのには、鉄を含むたんぱく質のミオグロビンが関わっています。ただ、肉の色だけで鉄の量を判断することはできません。量を比べるときは、成分表の数値を見るのが確かです。

ヘルシーだから選ぶ肉、というより、赤身の中身が濃いから選ぶ肉。鹿肉は、そういう見方をしたほうが、ほかの肉との違いがよくわかります。

特徴3:ビタミンB群もしっかり

ビタミンB2は100gあたり0.35mgで、鶏むね肉(0.11mg)の約3倍、牛もも肉(0.21mg)の約1.7倍。ビタミンB12は1.3μgで、牛もも肉(1.2μg)と同じくらい含まれています。

鹿肉が負けている項目もあります

ここまで鹿肉のいいところを並べてきましたが、全部の項目で勝っているわけではありません。

亜鉛は、鹿肉の2.9mgに対して牛もも肉が4.7mg。ナイアシンは、鹿肉の6.9mgに対して鶏むね肉が12.0mg。脂質の少なさだけで比べれば、鶏むね肉のほうが上です。また、ビタミンB1なら、豚ヒレ肉が1.32mgと、鹿肉の0.20mgを大きく上回ります。

それぞれの肉に、それぞれの得意分野があります。鹿肉は「全部入りの万能な肉」ではなく、「たんぱく質を確保しながら、鉄をしっかりとりたいときに強い肉」と考えるのが、いちばん正確だと思います。

数字を見るときに知っておきたいこと

鹿の種類や個体によって、数値は変わる

成分表には、日本の鹿(にほんじか)のほかに、あかしかの赤肉も載っています。あかしかは、エネルギー102kcal、たんぱく質22.3g、脂質1.5g、鉄3.1mg。同じ鹿でも、種類によって数値は変わります。

さらにジビエは野生の肉なので、獲れた季節や個体によっても脂ののり方は違います。成分表の数字は、あくまで目安として見てください。

数字は「生」の値

この記事の数値は、すべて生の状態のものです。加熱すると水分が抜けるため、100gあたりの数値は変わります。食材同士を比べるときは、同じ状態の数値で比べるのがわかりやすいと思います。

必ず中までしっかり加熱する

鹿肉は、生や半生では食べず、中心までしっかり火を通してください。厚生労働省は、ジビエの加熱の目安として、中心部の温度が75℃で1分間以上、またはこれと同等以上を示しています。脂が少ない肉なので、強火で焼き続けると硬くなりやすく、じっくり火を通すのが美味しく食べるコツです。

ドットコミュの鹿肉ソーセージ

鹿肉を、もっと気軽に食卓へ。

広島産の鹿肉に、挽きたてのスパイスとフレッシュハーブを合わせて作った鹿ブラックペッパー。冷凍パックのまま湯煎し、表面を軽く焼くと楽しめます。

鹿肉ソーセージを見る

格闘技を続けてきた僕が、鹿肉にたどり着いた理由

僕は18歳で総合格闘技を始め、2020年からはブラジリアン柔術に取り組んでいます。長く続けてきていちばん実感しているのは、身体は食べたもので作られる、ということです。

そんな僕が、狩猟を通して出会った答えがジビエでした。高たんぱくで、低脂質で、ミネラルが豊富。この記事で並べてきた数字は、その答えをあらためて数字で確かめたものでもあります。

とはいえ、鹿肉のブロックを買ってきて毎日焼くのは、正直なかなか大変です。僕たちが鹿肉をソーセージにしているのは、この肉をもっと気軽に食卓に届けたいからでもあります。ソーセージは加工品なので、生の赤身肉と同じ数値にはなりませんが、湯煎して焼くだけで、鹿肉の旨みを味わえます。

鹿肉は、赤身の中身で選ぶ肉

鹿肉は、たんぱく質が鶏むね肉と同じくらいで、脂質は少なめ。そして鉄は鶏むね肉の13倍、ビタミンB2やB12もしっかり含んでいます。一方で、亜鉛は牛もも肉、ナイアシンは鶏むね肉のほうが多いなど、得意・不得意もあります。

「ヘルシーだから」だけでなく、「赤身の中身が濃いから」。そんな視点で、いつもの肉のローテーションに鹿肉をひとつ加えてみてください。数字を知ってから食べる鹿肉は、たぶん、少し違って感じられると思います。

鹿肉のたんぱく質はどのくらいですか?
「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」では、にほんじかの赤肉(生)100gあたり23.9gです。鶏むね肉(皮なし・生)の23.3gとほぼ同じです。
鹿肉は鉄分が多いのですか?
にほんじかの赤肉(生)100gあたりの鉄は3.9mgで、鶏むね肉(皮なし・生)の0.3mg、牛もも肉(皮下脂肪なし・生)の1.3mgと比べて多く含まれています。
鹿肉のカロリーはどのくらいですか?
にほんじかの赤肉(生)100gあたり119kcalです。鶏むね肉(皮なし・生)の105kcalに近く、牛もも肉(皮下脂肪なし・生)の169kcalより低い値です。
鹿肉は生で食べられますか?
生や半生では食べず、中心までしっかり加熱してください。厚生労働省は、中心部の温度が75℃で1分間以上、またはこれと同等以上の加熱を目安として示しています。

オススメの商品

記事を書いた人

中山 浩彰

中山 浩彰ドットコミュ店主

ドットコミュ代表/ソーセージクリエイター。1985年、福井県福井市生まれ。「人にもわんこにも、同じ真剣さで作ったごはんを」を信条に、素材と製法に一切妥協しない無添加の手作りソーセージを日々作り続けている。

猪鹿4種セット | ジビエソーセージ入門編 この記事でオススメの商品 猪鹿4種セット | ジビエソーセージ入門編 詳しく見る