メルマガvol.24「はだか祭り」

ドットコミュ移転先となる三原市久井町伝統のお祭り「はだか祭り」に参加して来ました。

起源は100年ほど前に遡り、「当時あまりいい事が続かなかった世相の時に、1人の男が裸で走り回ったことが起源」だと聞きました。それで厄祓いが出来たのかどうかは分かりませんが、それが今日まで続く伝統の祭りになったそうです。

 

内容としては「神主さんが投げる御福木を掴み取り、境内の奥に返すと福男になれる」というシンプルなもの。しかしこれがまた。時間制限も無ければ判定決着も無いので、終わるまで終わらない。長い時は1回の勝負が2時間を超えたり、日を跨いだりすることもあるそう。

いつまでに返す、というルールも無いので、御福木を持ったまま裏山に逃げ込んだ人もいたそうです。で、こっそり翌日返しに来ると。それを境内で待ち伏せする人もいたり。笑
100年超えの歴史があると色々な事がありますね。

出陣の2時間ほど前、案内してもらった民家で晒しを巻いてもらいます。例年に比べてかなり暖かったそうですが、やはり市内とは違う寒さ。その日の気温は0℃。
準備が出来たら一度アジトに戻り、待機します。それまで服着て喋ってた人たちが、徐々にふんどし姿に変わっていく様はまるでオセロのようでした。

時間が近づき、僕たちも境内に上がります。社務所で受付をして、腕に番号を書いてもらう。21時になると御福木投下ということで、特設で組んだのであろうヤグラの前に集まります。

ヤグラの前では既に男たちが大声でわっしょいわっしょい始まってます。何せこちとら既に寒いので、声を出して動いてないといられない。

ヤグラの上では誰かがマイクを持って何か言っています。それが何を言ってるのかは全然聞きとれない。するとマイクが別の人に渡され、また何か喋っている。ああ、これはなんか挨拶かしてるのか。

 

その後もマイクが入れ替わる。だんだん腹が立ってくる。早よ投げろや。笑
上で喋ってる人は、上から煽ると下が呼応するので、楽しいんだろう、「1.2.3.ダーッ!」とかやってる。更にムカつく。笑
ライブ会場で客を煽るように。ウルトラクイズの「NYに、行きたいかー!」と一緒。そのうち市長はハッピ?みたいなものを脱ぎ、こちらに投げ捨て上裸で「うおー!」とかやってる。もうめちゃくちゃムカつく。笑
とうとう「早よ投げやオラー!」と僕が叫ぶ。周りの男衆も思っていたのだろう、「早よ投げー!」と呼応。その周囲だけフーリガンみたいになる。笑

でも僕らが上のマイクを聞きとれないように、上の人間も下が何と言ってるか聞き取れないのだろう。おー、なんか盛り上がってきた、くらいにしか思ってないかも。歴史上延々と続く、階級社会と大衆の縮図だと思えた。

そしていよいよ御福木投下。投げ込まれたそれに向かって人が群がる。とにかく人が群がって団子でまんじゅう状態。その中心にバケツで水がぶっ掛けられる。それは「裸で皮膚が擦れ合って怪我をしないために」掛けるのだそうだ。こうして体温から立ち上る湯気。それにしても水が冷たい。

こちとらわっしょいわっしょい団子状態ではあるが、サウナに入ってるほど暑くはない。定期的にぶっ掛けられる水が冷たくてムカつく。笑

とにかく団子状態の中心に向かう。この時点では本当に中心に御福木があるのかどうかすら疑心暗鬼である。

これまた面白いことに、御福木は一本しか投下されてないのに、人の団子は2箇所に分かれたりする。「あっちにあるぞー!」と撹乱情報を流すのかもしれないし、実際に間違えて集まってしまったり。とにかく人が集まれば「その中にある」と思ってまた人が集まる。

んで「あれ?無いぞ?」って気がついてサーっと散り散りになっては「こっちにあるぞー!」となだれ込んでいったりする。なんだこれ、超おもしろい。笑

とりあえず団子を見つけては中心部分を目指す。あるか無いか分からないがとりあえず中心を目指す。そしてみんなの手が群がっているところに手を入れ込んでみる。

「ある!」
確かにここにある!ただ、これだけのギュウギュウで皆が掴んでいるものだからなかなか取って抜け出すことが出来ない。そして思った、これ長丁場もあり得るぞと。

体感で3分くらいだろうか。僕も御福木を掴んでいた状態だったが、団子が大きく動き崩れる。このまま下手な体勢で無理に掴んでいると危ない、そう思い手を放した。その後どのくらい経った頃だろうか。
なんか終わったらしい。笑

 

あれだけワイワイやっておいて持ち込むのは奥の方なので、ヤグラの前、メイン会場での瞬間はとても地味だ。終了の合図は神主さんからのマイクで知る。「終わりましたー」

 

こうして一本目が終わり、一度火の周りに集まって休憩。やがて2本目が投げられる。永遠に続くかと思われた一本目でも体感15分くらいだったろうか。

そして2本目投下。こちらはあっけなかった。多分開始2〜3分で神主さんからのマイク。「終わりましたー」。
えっ、終わったの?!笑

いやー、これだけ書いても語り尽くせないことが沢山あった。総括すると、祭りって。ほんと原点、原始、こういうものだよなって。primitiveだ。

終わってのお風呂は本当に極楽。
おっさん誰やねんみたいなおっさんとも一気に家族になれた。いや風呂だけでない。一緒に晒し姿になって祭りに参加した人たちとは急に距離が近まった。俺たちはファミリーで、素晴らしい地域の祭りだ。

※これは一見の価値がありますよ。そして見に来るくらいなら参加することをお勧めする。(男なら)

広島県三原市久井町。
この地にソーセージと柔術を広めよう、俺は頑張るよ。改めてそう思った

 

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